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過失運転致死(弁護士コラム)

過失運転致死に強い刑事事件の弁護士が、過失運転致死のよくある質問にお答えします。過失運転致死事件のことでお悩みなら、弊所の刑事弁護士にご相談ください。名古屋など全国の都市でお待ちしております。

過失運転致死の弁護士コラム

過失運転致死とは?

自動車を運転する上で必要な注意を怠り、それによって人を死亡させた場合、過失運転致死罪という犯罪が成立します。

従来の死亡事故の取り扱い

自動車を運転中に注意を怠って人を死亡させる類型は、もともと刑法の業務上過失致死罪によって処理され、ほかの過失犯と同じ類型として処理されていました。平成19年に刑法が改正され、過失犯の特別類型として、自動車運転過失致死罪が刑法に設けられました。

業務上過失致死罪と自動車運転過失致死罪との違いとは?

業務上過失致死罪と自動車運転過失致死罪との違いは、法定刑です。業務上過失致死罪の法定刑は、5年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金です。これに対して、自動車運転過失致死罪の法定刑は、7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金でした。このように、自動車運転過失致死罪の方が、懲役刑が重かったのです。

平成26年に施行された、自動車運転死傷行為処罰法とは?

平成26年に「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(通称自動車運転死傷行為処罰法)が施行されました。この新法により、自動車を運転して人を死亡させた行為について過失運転致死罪という罰則が設けられ、刑法からは自動車運転過失致死罪の条文が削除されました。その結果、現在では、自動車を運転する上で必要な注意を怠り、よって人を死亡させた行為については、自動車運転し商行為処罰法によって処理されることで一本化しています。

過失運転致死で逮捕されるか?

過失運転致死罪を犯した場合、逮捕されるでしょうか。

死亡事故で逮捕される場合とは?

あなたに逃亡や証拠隠滅のおそれがあり、逮捕の必要性もある場合には、逮捕の要件を満たすことになります。しかし、逮捕されるかどうかに関して、明確な基準があるわけではありません。

死亡事故を起こしても逮捕されないケース

逮捕の要件を満たす場合であっても、在宅で、つまり逮捕されないまま捜査が進められることもあるのです。その場合には、警察で一通りの捜査を終えた後は、検察官に事件が送致されます(書類送検といいます)。ただ、事故を起こしたにもかかわらず、通報や救護措置をしないでその場を立ち去ろうとした場合には、逃亡のおそれがあるとして、逮捕されることが多くなるでしょう。

過失運転致死の裁判の流れは?

過失運転致死罪を犯して起訴された場合、裁判の流れはどうなるでしょうか。

死亡事故の裁判の流れ

起訴されると、通常、1か月ほどで裁判(公判期日)を迎えます。公判期日では、まず冒頭手続きにおいて、起訴状朗読やあなたの意見の陳述などが行なわれます。次に証拠調べにおいて、検察官が証拠によって証明すべき事実を明らかにします。続いて、証拠書類や証拠物の取り調べのほか、証人の尋問やあなたへの質問が行なわれます。証拠調べが終わったら、検察官から証拠の評価と求刑があり、弁護人からも証拠の評価と求める判決を述べます。これで結審です。

そして、通常は別の期日に、判決が言い渡されます。

裁判員裁判の対象になる場合

過失運転致死罪は、裁判員裁判の対象にはなりません。したがって、裁判に関与するのは、通常の刑事裁判どおり、あなたと弁護人、検察官そして裁判官です(書記官ももちろんいます)。なお、過失運転致死罪は、被害者参加制度の対象とされています。そのため、被害者参加人が申し出たときは、公判期日において、情状証人の尋問やあなたへの質問の際に、被害者参加人あるいはその代理人弁護士も尋問や質問が行なわれます。

過失運転致死の量刑相場は?懲役刑は科される?

過失で交通事故を起こして相手が死亡した場合、免許取り消しなどの行政処分が行なわれますが、それとは別に、刑事処分も出されます。罪名は、当初は業務上過失致死でしたが、その後に自動車運転過失致死となり、現在では、過失運転致死罪となっています。

過失運転致死事件の場合、死亡という重大な結果が生じているので、示談ができているときでも、略式手続による罰金刑で済むことはほとんどありません。正式に起訴(公判請求)されて裁判にかけられるのが通例です。

過失運転致死罪のみで起訴された場合

過失運転致死罪を犯しても、初犯であり、なおかつ被害者が1人であれば、多くは執行猶予つきの禁錮刑が科されます。その場合の刑期は、おおむね1年から3年の間で、過失の程度や示談の成否などによって高低が決まります。執行猶予の期間は、3年から5年の間となることが通常です。また、過失の程度が大きい場合には、禁錮ではなく懲役となります。ただし、刑期や執行猶予の期間は、禁錮の場合に準じます。

同種前科がある、複数の被害者がいる場合

同種前科があったり、被害者が複数人出ていたりする場合には、実刑となる可能性が高くなります。実刑となったときは、交通刑務所で服役することがあります。交通刑務所とは、厳密な定義はありませんが、交通事故事件の受刑者を専門に受け入れている市原刑務所、また交通事故事件を含む短期あるいは犯罪傾向の低い受刑者を受け容れている加古川刑務所がこれに当たります。

過失運転致死をすると会社はどうなるか?

過失運転致死事件を起こしてしまった場合、あなたの会社での扱いはどうなるでしょうか。

有罪判決が確定した場合

有罪判決が確定した場合には、就業規則に基づき、一定の処分が行われます。懲戒処分が出されることが多いでしょう。人を死亡させているので、解雇される(クビになる)ことも覚悟する必要があります。有罪判決は、実刑の場合だけでなく、執行猶予の場合や、罰金の場合も含むことに注意してください。

自主退職を余儀なくされるケース

実際には、判決に至る前であっても、自主退職を勧奨されることがあります。自主退職なら、懲戒解雇と違って、退職金が出ます。そのため、有罪判決の確定を待たずに、自主退職することを選ぶケースも少なくありません。自主退職はせず、有罪判決が確定しても懲戒解雇とならず、停職や減給で済んだとします。この場合でも、あなたが過失運転致死を行なったことは、職場に知れてしまっているのが通例です。その結果、職場にいづらくなり、最終的には自主退職する…という例も少なからずあるようです。

より詳しい解決方法は罪名別よくある質問に続く
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